こんな衝撃的な数字が、政府が策定した「認知症国家戦略案」から明らかになりました。2012年時点で65歳以上の認知症の人は7人に1人(462万人)。これが団塊の世代が75歳以上になる2025年には、65歳以上の5人に1人にあたる700万人前後に増えるということです。
そして、「隠れ介護 1300万人の激震」ーーと日経ビジネスが報じたのは、昨年の9月。就業者6357万人(総務省統計局の労働力調査)の実に5人に1人が隠れ介護で、その多くが40代以上で、管理職クラスの課長以上が半数を占めるとし、「介護離職をいかに食い止めるかが、企業存続の鍵」と警鐘を鳴らしたのです。
そればかりではありません。高齢者の「貧困率が高い国」 1位韓国、日本4位とOECD加盟国mの65歳以上人口のうち、12.6%が相対的貧困層に属することが最近の調査でわかりました。相対的貧困層とは、所得がその国の世帯平均の50%に満たない集団を意味します。統計全体では高齢の女性は男性よりも貧困状態に陥るリスクが高いいうことです。
「高齢者人口」のピークは2041年
2014年現在、「高齢者人口は3296万人、総人口に占める割合は25.9%と共に過去最高(H26.9.16総務省統計発表より)」になっています。外を歩けば4人に1人は高齢者、そんな時代です。これが今後さらに増え2025年問題に発展するのですが、その鍵を握るのが団塊ジュニア。第2次ベビーブーム世代と言われる人たちです。
2023年に彼らが50歳を迎える時、その親である団塊の世代はすでに後期高齢者。まずは親子揃って「50歳以上」にカウントされます。 そして15年後には彼らも前期高齢者。団塊の世代と団塊ジュニアがそろって高齢者になるこの頃が高齢者人口のピークだと予想されています。 高齢者人口は2040年頃のピークを境に減少していきます。 ですがこのまま出生率が下がり続ける限り、高齢者の「割合」が下がることはありません。しかも今後予想されるのは、さらにその大半が支援なしでの生活が難しい後期高齢者だということ。これを高齢者1人に若者1.3人、というほぼマンツーマンで支えていくことになります。 そしてほどなく訪れる高齢者人口4割の時代。
日本の高齢化は、世界のどの国でもいまだ経験したことのないレベルを突き進んでいきます。
後期高齢者化、単身世帯化、未婚化への対応
国立社会保障・人口問題研究所は4月11日、「日本の世帯数の将来推計(都道府県別推計)」を発表した。これにより「2010年国勢調査」を基準にした人口と世帯数の将来推計が、全国と都道府県別で出そろった。
これらの将来推計から注目されるのは、日本の高齢化は単に65歳以上人口が増えるだけでなく、「後期高齢者化(75歳以上人口の増加)」「単身世帯化」「未婚化」を伴いながら進んでいく点である。しかも、大都市圏でこうした変化が顕著に現れていく。
まず「後期高齢者化」をみると、35年は10年に比べて、75歳以上高齢者が58%(826万人)増となる(表)。ちなみに65~74歳の前期高齢者は、16年からおおむね減少局面に入り、同期間内で2%(34万人)減少していく。増えていくのは後期高齢者である。
地域別にみると、後期高齢者は大都市圏で急増する。例えば、10年から35年にかけて東京圏の後期高齢者の増加率は85%。全国の増加率58%に比べて著しく高い。後期高齢者は要介護認定率が高いので、今後大都市圏を中心に医療・介護需要の急増が予想される。
次に「単身世帯化」をみると、単身高齢者数(65歳以上)は10年から35年にかけて53%(264万人)増加していく。大都市圏の単身高齢者の増加率はさらに高く、東京圏では71%となる。
単身高齢者が増加する要因の一つは、やはり高齢者人口の増加だ。ただし、10年から35年にかけて単身高齢者は53%増加するのに対して、高齢者人口の増加率は27%。つまり、高齢者人口の増加だけでは単身高齢者の増加を説明できない。
それ以外の要因としては、結婚した子供が老親と同居しない傾向や、高齢者の中で未婚者の比率が高まることが挙げられる。未婚者は配偶者がいないので、単身世帯になりやすい。
高齢未婚者が急増
最後に「未婚化」をみると、65歳以上の未婚者数は10年から35年にかけて229%(275万人)も増えていく。65歳以上人口に占める未婚者の割合をみても、10年の4%から35年には11%になる。
未婚化の進展は、単身高齢者の増加要因になる。既に東京都では、一人暮らしの65歳以上男性のうち、32%は未婚者である(『10年国勢調査』)。そして未婚の単身高齢者は、配偶者のみならず子供もいないので、老後を家族に頼ることが一層困難になるだろう。
以上のように今後、要介護になる可能性が高く、同居家族をもたず、また未婚のため配偶者も子供もいない高齢者が増えていく。従来型の同居家族を前提にした支援体制では限界があり、社会として対応していく必要がある。
鍵を握るのは、地域づくりと社会保障の強化・重点化であろう。とりわけ大都市圏の単身高齢者が要介護になっても地域で暮らせるように、地域ごとに医療・介護・生活支援・予防などの供給体制を整備することは重要だ。
問題は、支援体制を整備していくスピードだ。後期高齢者化や単身世帯化、未婚化は、25年頃までに急速に進み、その後は緩やかな増加となる。つまり、今後10年間で体制を整備する必要がある。残された時間は多くない。
表で分かるように65歳以上の35年の高齢者の人口数は3,741万人、その内単身者数は762万人、未婚者数395万人、
75歳以上人口は1,419万単身者数466万人、未婚者数152万人と推計されています。全国でこんなに多くの一人暮らしが増えるということになります。「自分だけは元気に暮らせる」と言う考え方を改め、将来「誰のお世話になるか」を真剣に考えなければならない世の中になることになります。
高齢者数の将来推計
(単位:万人)
|
全国 |
東京圏 |
2010年 |
35年 |
増加率 |
2010年 |
35年 |
増加率 |
65歳以上人口 |
総数(1) |
2,948 |
3,741 |
27% |
732 |
1,045 |
43% |
単身者数(2) ((2)÷(1)) |
498 (17%) |
762 (20%) |
53% |
137 (19%) |
235 (22%) |
71% |
未婚者数(3) ((3)÷(1)) |
120 (4%) |
395 (11%) |
229% |
37 ((5%) |
- |
- |
75歳以上人口 |
総数(4) |
1,419 |
2,245 |
58% |
318 |
588 |
85% |
単身者数(5) ((5)÷(4)) |
269 (19%) |
466 (21%) |
73% |
69 (22%) |
135 (23%) |
96% |
未婚者数(6) ((6)÷(4)) |
44 (3%) |
152 (7%) |
244% |
13 (4%) |
- |
- |
|
|